お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科 生命科学 教授 白楽ロックビル氏
(掲載日:2007年6月19日) 最終回の3回まで読んで下さってありがとう。本当は、1回目にAAAS(全米科学振興協会)の組織や年次大会の全貌を書くべきなんですが、先に、おいしいシーフードやステーキを食べていただいたほうがいいと考えました。ここまで読んで下されば、脂っこい味に少しアキて、サッパリ味のお茶漬けもいいでしょう。ウン?コックが同じなら、お茶漬けも白楽節で脂っこい? AAAS(全米科学振興協会)は、1848年設立の科学技術を支援する非営利団体で、有名な科学雑誌「Science」を発行している。「科学を促進し、社会に奉仕する(Advancing Science, Serving Society)」という魅力的なスローガンを掲げ、出版だけでなく、調査・研究・啓蒙・社会運動を強力に推し進めている。この手の団体としては世界最大だ。誰も言わないけど、スローガンは頭文字でASSSとなる。AAASがASSS。うまいね、どうも。オヤジギャグ?
年次大会は毎年2月、アメリカの大都市で5日間開催される。今回はサンフランシスコで、主会場はヒルトン・ホテルという市内繁華街の大型ホテルだった。隣接の日航ホテルとルネッサンスホテルにも会場が設けられていた。
セッションの時間は、朝8:00から夜22:00までというアメリカの普通のハードな学会である。もちろん全部参加する人はいない(と思う)。基調講演、トピック講演、シンポジウム、ポスター発表、ワークショップなど多様な形式のセッションが開催されていた。 シンポジウムは18部門・172セッションあった。10部門は科学専門性が強く、「生命科学」「心と体」「気候変動」「エネルギー」「ナノテク」「海洋科学」「宇宙科学」「漁業」「農林業」「基礎科学と応用科学のフロンティア」だった。8部門は科学社会学的で、「科学コミュニケーション」「国際問題」「イノベーション政策」「持続的発展の科学政策」「持続的発展の社会学と政治学」「科学技術人材」「教育と学習」「リスク管理」だった。2日目の夕方、グーグル(Google)会長のラリー・ペイジ(Larry Page、ナントまだ33歳、男性)が基調講演を行った。定員1,000人の会場はほぼ満席で立ってる人もいた。 講演内容は省くが、すべての基調講演は、参加費無料なので、一般市民がたくさん参加する。会場の前部には手話通訳者がいて、講演内容を伝える。さらに、講演の電子字幕も同時にでる(写真は別の講演者)。スゴイ! 利用者はいるか? 手話通訳者の利用者はわからないが、身障者は、車椅子の人を数人見かけた。電子字幕の利用者? 不肖・ハクラク、かなり読みました。日本語の字幕があるといいなあ。 ![]()
ラリー・ペイジの出世ぶりはすごい。ミシガン州立大学・教授(コンピューター科学)の息子として生まれ、6歳の時から、コンピューターに熱中した。ミシガン大学工学部を卒業後、スタンフォード大学・大学院でコンピューター科学を専攻するが、そこで、エルゲイ・ブリンと出会って、1998年にグーグル社を創業する。修士の途中から大学院に行かなくなり、創業3年後の2001年に社員200人余り、2007年では社員5,000人余りの会社というから、スゴイ。 日本の院生は、こういう会社を起業できるんだろうか? 6歳の時に科学に熱中し、大学の理系に進み、大学院に進学するまでは、キミもオナジ?ソコソコいるよね。院の途中から研究室に行かないとこまで同じ? ソコソコいる? オイオイ! で、大学院時代に誰に会えばよくて、何を起業すればいいんだ? いつ、何を学べば、「正しい時に、正しい場所で、正しい能力」を発揮できるのか? 不肖・ハクラク、いまさら成功の秘訣を会得しても、も、も、もう遅い。わかっとる。でも、若い学生・院生の皆さんは、遅くない。秘訣を会得して、人生を大きく発展させてほしい。 もう1つ記しておきたいのが土日11:00−17:00に開催された「ファミリー科学デイ」だ。このイベントも参加無料である。大勢の地元の子供たちが親と一緒に、「科学」で遊んでいた。入口で無料のポップコーンをもらい、「あなたも宇宙飛行士」写真を撮り、気に入ったブースの科学手品を見つめ、舞台の上のサイエンス劇場に参加する。 こういう企画があれば、「若者の理科離れ」が少しは防げる? 多分、イエスだ。少なくとも国民と科学の距離は近くなる。日本にもっと導入したらどうなんだろう。 日本は、国民と科学の距離は遠い。そもそも、AAASと同じ組織がない。若者や国民どころか、科学者や学生・院生・ポスドクが、科学技術全体、科学と社会に関する問題を自由に議論する伝統・風土・機会はほとんどない。ごく少数の組織・機関が行っているが、AAASとは横綱と幼稚園児だ。科学政策、科学キャリア、科学メディアが充実するわけがない。科学全体がひずむ。 ただ、科学技術振興機構(JST)は、2006年11月にサイエンスアゴラと称して、AAAS大会と似た3日間の集会を東京のお台場で開催した。2007年も開催するという。科学技術振興機構は官庁サイドだが(AAASは民間サイド)、日本のAAASになってほしい。ただ、「サイエンスアゴラ」っていう名称じゃ、庶民はわかんね〜だろうなあ。不肖・ハクラクもわかんね〜。「サイエンスあぐら」「サイエンスかぐら」と勘違いしましたよ(ウソ。英語よりも国語。不肖・ハクラクの品格(ないけど))。 (完)
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